嶽本野ばらの名前を全国区へと押し上げた最大の金字塔が、2002年に発表された小説『下妻物語――ヤンキーちゃんとロリータちゃん』です。茨城県下妻市という田園風景が広がる地方都市を舞台に、ロリータファッションに命を懸ける少女・竜ヶ崎桃子と、特攻服に身を包むヤンキー少女・白百合イチゴの奇妙で純粋な友情を描き、社会現象を巻き起こしました。
本作の誕生背景には、野ばら氏自身が愛してやまないロリータブランド「BABY, THE STARS SHINE BRIGHT」への深い敬意と、「田舎のヤンキー文化」と「純粋培養された乙女文化」という対極の存在を激突させる鮮烈なアイデアがありました。2004年に中島哲也監督の手により、深田恭子と土屋アンナのダブル主演で実写映画化されると、国内外の映画賞を総なめにする大ヒットを記録。「友達なんていらない」と強がっていた孤高の少女たちが互いを認め合う物語は、単なるサブカルチャー小説の枠を超え、青春文学の傑作として今も語り継がれています。