では、なぜわざわざ画質が悪く、字幕もないrawを視聴する人がいるのだろうか。その理由は、ファン心理とアクセシビリティの二つの側面から説明できる。
第一に、タイムラグの解消だ。ドラゴンボール超は日本で放送された後、海外でローカライズされるまでに数週間から数ヶ月のタイムラグが生じる。特に英語圏のファンにとって、rawはこの待ち時間をゼロにする唯一の手段だった。放送から数時間後には、世界中のファンが同じエピソードについて語り合える。この即時性は、ソーシャルメディア時代のファン文化において極めて重要な価値を持つ。
第二に、「オリジナル」へのこだわりだ。吹き替え版では声優の演技が変わったり、台詞がローカライズによってニュアンスを失ったりすることがある。日本語の原音で、放送されたままの状態を体験したいというピュアな欲求が、raw視聴の原動力となっている。特に、野沢雅子さんをはじめとするオリジナル声優陣の熱演を、編集や加工なしで味わいたいというファンは少なくない。
第三に、コレクション性だ。一部のファンにとって、rawは単なる視聴手段ではなく、収集対象である。放送版とBD版の違いを比較したり、制作段階の資料として保存したりする。これは、いわばデジタル時代の「お宝」探しのようなものだ。