夏目雅子のキャリアを語る上で欠かせないのが、1978年に放送されたテレビドラマ『西遊記』での三蔵法師役だろう。当時、若手女優がスキンヘッド頭巾を被り、凛とした美青年の僧侶を演じるというキャスティングは前代未聞の挑戦だった。
ジェンダーの境界線を軽やかに飛び越えたその姿は、現代の観客の目にも極めて先進的に映る。ただ美しいだけのヒロインに収まることを拒み、コミカルで破天荒な劇中で高潔な存在感を保ち続けた。性別を超越したあの聖なる気品は、多様性が叫ばれる2026年の現代において、むしろ時代を先取りしすぎていたアイコンとして新たな解釈を生んでいる。