「日々是好日」の読み方には複数のバリエーションが存在します。一般的に最も広く浸透している慣用読みは「ひびこれこうじつ」ですが、禅宗の本来の読み下し方としては「にちにちこれこうにち」あるいは「ひびこれこうにち」と読まれることも少なくありません。仏教用語としての厳密さを重んじる場では「にちにち〜」、日常の会話やメディア作品では「ひび〜」と呼ばれる傾向がありますが、どの読み方を用いても間違いではありません。
この言葉が持つ本質は、「毎日ハッピーに過ごそう」「良いことばかりが起きる」という都合のよいポジティブ思考とは根本的に一線を画します。人生には、思い通りに物事が進む晴れやかな日もあれば、予期せぬ失敗や悲しみに打ちひしがれる雨風の日もあります。禅の教えでは、そうした幸・不幸や快・不快という人間の勝手な分別(こだわり)を捨て去ることを説きます。
良い日も悪い日も選り好みせず、与えられた今日という一日をありのままに受け止め、全力を尽くして生き抜くこと。その覚悟を持ったとき、どのような一日であっても「二度と巡ってこないかけがえのない好日」へと変わる――これこそが、禅語「日々是好日」に込められた真の意味なのです。