日本におけるカレーライスの歴史を語る上で、ハウス食品とエスビー食品という二大巨頭の存在を外すことはできない。大正から昭和にかけて誕生した固形カレールーは、高度経済成長期を経て日本独自の食文化である「日本の洋食」の象徴へと上り詰めた。
メーカー側の開発技術は年々凄まじい進化を遂げており、ルーそのものに厳選された小麦粉の焙煎香、油脂のブレンディング、旨味成分の抽出エキスが緻密に配合されている。つまり、市販のルーはそれ単体で完成されたオーケストラのような状態にあるのだ。だからこそ、現代の隠し味は「ルーの味を消すため」ではなく、「メーカーが作り上げたベースの上に、どのような個性のスパイスを上乗せするか」というソムリエ的な発想が求められる。