今作の物語の核となるのは、私たちが日常的に利用しているスマートホーム技術だ。声ひとつで照明が消え、ドアがロックされ、室温が調整される便利で安全なはずの空間。だが、その声に応答しているのは、果たしてAIだけなのだろうか?
主人公の住む邸宅で巻き起こる現象は、一見するとシステムの誤作動に過ぎない。しかし、漆黒の暗闇の中で静かに囁かれる声と、住人の意図とは無関係に明滅する灯り。息が詰まるような心理的圧迫感が続く展開は、間違いなく黒沢清監督の真骨頂たるサイコホラーの領域である。ありふれたテクノロジーが狂気へ変貌する恐怖を描かせたら、彼の右に出る者はいない。