臨床の現場においても、意識の変化が起きている。日本性科学会をはじめとする専門機関では、満足な快感を得られない症状や困難を「オーガズム障害」という医療的知見の枠組みのなかで捉え、適切なカウンセリングや治療の対象として議論を深めている。これは病気としてラベルを貼るためではなく、本人の苦痛を和らげ、客観的なケアを提供するプロセスとして重要視されている。
日本の医療現場では長らく、生殖に関わる婦人科的疾患や不妊治療が優先され、QOL(生活の質)に直結する快楽や満足感のテーマは後回しにされがちだった。しかし、学会での議論や若手医師たちの取り組みにより、心身両面からのアプローチが診療指針に取り入れられつつある。恥ずかしさから一人で抱え込む時代は、確実に終わりを告げようとしている。