韓国の食文化を語る上で欠かせない「ヘジャンク(解腸湯)」は、直訳すると「内臓を解きほぐすスープ」、すなわち「酔い覚ましスープ」を意味します。飲酒文化が根付く韓国において、深酒をした翌朝や深夜の胃袋をいたわる定番のソウルフードとして、古くから親しまれてきました。
ヘジャンクには干し鱈(プゴク)ベースや骨付き豚肉(ピョダギ)ベースなど多様な種類が存在しますが、その最高峰として君臨するのが「楊平ヘジャンク(本場 韓国・京畿道楊平郡が発祥)」です。朝鮮時代から牛の集散地・屠畜場として栄えた楊平では、新鮮な牛の内臓や血液が日常的に手に入ったことから、これらを豆もやしやウゴジ(白菜の外葉を干したもの)と共にじっくり煮込む独自のスープ文化が花開きました。
牛骨と内臓から丁寧に抽出した出汁に、テンジャン(韓国味噌)や唐辛子油(コチュギルム)、すりおろしニンニクを効かせたスープは、単に辛いだけでなく、奥深いコクとスッキリとした後味を併せ持ちます。韓国現地を訪れた日本人旅行者や駐在員の間でも「一度口にすると禁断症状が出る」と語り継がれる逸品です。