あの一見不思議な道具の正体は、仏教の法華宗や日蓮宗などで用いられる「うちわ太鼓」と呼ばれる伝統的な和楽器だ。柄のついた円形の皮を木粉やバチで叩くシンプルな構造ながら、鋭く通りやすい高音が出るのが特徴である。
コントの小道具として採用された背景には、志村本人の卓越した音感があった。ある日、小道具の倉庫で見かけたうちわ太鼓を手にした志村が、試しにポクポクと叩きながら独特のリズムを口ずさんだところ、現場のスタッフから大爆笑が巻き起こった。完璧な間と音のキレを追求した末に生まれた、計算尽くしの即興劇だったのだ。