肛門皮垂(スキンタグ)とは、肛門周囲の皮膚がシワ状・ヒダ状に伸びて余った状態を指します。大きさは米粒大の小さなものから大豆大、あるいはそれ以上のサイズまで個人差があり、触感は柔らかく、普段は強い痛みを伴わないことが一般的です。
皮膚が伸びてしまう主なメカニズムには、肛門周囲への急激な物理的負荷や慢性的な炎症が深く関わっています。
1. 外痔核や血栓性外痔核の治癒後
肛門の外側に血豆(血栓)やいぼ痔ができ、一時的に皮膚が風船のように大きく腫れ上がった後、腫れ自体は引いたものの伸びきった皮膚だけがたるんで残るケースです。臨床上、最も頻度の高い発生経路とされています。
2. 妊娠・出産による骨盤底への負荷
妊娠後期の胎児による子宮圧迫や出産時の強烈ないきみによって、肛門周囲の血流がうっ血し、組織が引き伸ばされます。産後に体型が戻っても、一度伸びた肛門の皮膚が元に戻らずスキンタグとして定着することが多いため、20代〜40代の女性に非常に多く見られます。
3. 慢性的な便秘と排便時の強いいきみ
硬い便を無理に出そうと強くいきむ習慣があると、肛門周囲の皮膚組織に持続的な過伸展がかかり、徐々に皮膚のたるみが形成されます。
4. 慢性裂肛(切れ痔)による二次的反応
切れ痔を長期間放置して慢性化すると、傷口の外側が炎症を起こして皮膚が肥厚し、突起状に隆起します。これは後述する「見張りイボ」と呼ばれる病態です。